横歩取り~△85飛・44角型~②

前回の続きです。

 

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この局面から▲28飛とした場合を見ていきます。

▲36飛や▲24飛がいかにも飛車が狭い、ということで▲28飛が一番実戦で多く指されます。

 

 

▲2八飛 △2六歩

 

 

▲28飛には△26歩と垂らします。

これは27にぶち込む手や緩衝剤のような役割で、角がいなくなっても先手が飛車を使うのに一手必要になってきます。

さらに、ここでなぜ先手が▲48銀と上がりづらいか、という理由がわかるかと思います。

この局面で▲48銀が入っていると△77角成から△27銀打という手がありますので一手27の地点を受ける手が必要になってくるためです。これで優劣がつく、というほどではありませんが先手として歓迎する変化ではないでしょう。

そのため▲48銀と上がっている場合は▲36飛か▲24飛を選ぶことになります。

 

▲7九玉 △8五飛▲6六歩

 

 

先手の指し手の方針は①角を攻める、②26の歩を狙う、③堅める、の三つから選ぶことになります。ここでは③堅めるを選んだとします。

▲79玉に対し、後手は△85飛と浮きなおして飛車の転換を狙います。27への数の攻めを受けなければいけないので先手は▲38銀か▲66歩とします。本譜▲66歩は角切りの強襲を防いだ意味です。

 

△2五飛 ▲3八銀 △7五歩 ▲6八金上

△7六歩▲同 銀 △6六角 ▲7七歩 △5五角

 

 

 

△25飛に▲38銀は必然の一手。金駒を一枚ピンにできるのがこの変化の大きな特徴です。

2筋が落ち着いたので後手は一転して7筋から攻めていきます。

△75歩に▲同歩は△76歩と叩かれて困るので▲68金上として上部を厚くします。

△66角に▲77金として手番を取りに行くのは、やはり△同角とばっさりいかれて27地点が受かりません。ここは手番は取れませんが▲77歩として落ち着かせます。

現状では▲82角のキズがあるので後手は△55角として角の転換と△33桂や△36歩打を狙っていきます。

 

まだ互角の局面でこれから、という将棋ですが、先手のほうに落とし穴が多くあり、後手は2筋への飛車の転換という攻め筋、82への打ち込みさえ気を付ければいいというわかりやすさがあります。

紹介した順に進むことは滅多にないとは思いますが、機会があれば採用してみてはいかがでしょうか。

 

では、