反則と戦術
反則ってしちゃいけないものでしょうか?
将棋では反則は即敗北、しちゃいけないよと教わると思います。
でもスポーツだとどうでしょうか。
ぼくの分かるサッカーで話します。
サッカーだと反則は「このプレーは反則」と教わるだけで「しちゃいけないよ」とは教わらないと思います。
2010年南アフリカW杯準々決勝ウルグアイ対ガーナ戦。この試合中に反則を「英断」と評されるプレーがあります。
同点で迎えた延長後半アディショナルタイム、ガーナがウルグアイゴールに襲いかかったときです。
ガーナの放ったシュートがウルグアイゴールに入ろうかという瞬間、ウルグアイ代表FWが手でボールを掻き出しました。
このプレーは当然反則。
選手にはレッドカードが与えられ退場。
ガーナにはPKが与えられます。
しかし、ガーナはこのPKを失敗。
続くPK戦で敗れ、ベスト8となりました。
1失点確実だったところを、自身の退場と引き換えに勝率20%のPKに、さらに勝率50%のPK戦へともつれ込ませたわけですね。
当時このプレーは非常に話題となりました。
スポーツマンシップからいえば有り得ないことだ、という意見もありましたが大多数の人はこの反則を褒め称えたと思います。
マリーシアという言葉があります。ポルトガル語で「ずる賢さ」という意味の言葉で、日本では「ずるい駆け引き」のような意味で認知されているかと思います。
審判を騙してFKやPKを獲得するような行為を指すことが多く、一部ではそのようなことをする選手を「ダイバー」と呼んで揶揄することもあります。
そのような行為がバレれば当然反則、選手にはイエローカードが与えられるのですが、バレなかったときの見返り(得点)が大きく、世界的にそういうプレイヤーがいなくならないのが現状です。
サッカーは反則を犯したからプレーが止まる、というわけではありません。
審判が笛を吹いてはじめてプレーが止まるのです。
審判が笛を吹くまでは蹴ろうが殴ろうが一切反則ではないわけですね。
当然審判も人間ですので、誤審や見逃しがあります。
なのでそういうプレーがなくならないんですね。
もはや戦術のうちに入ると言っても過言ではないプレーですが、これを「面白い」とみるか「ずるい」とみるかは人によって変わってきそうです。